相談室長のエッセイ集

いじめ自殺の防止徹底

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いじめ自殺の防止徹底

政府はいじめ防止の対策強化のため、自殺対策基本法を五年ぶりに見直し、「自殺総合対策大綱」を閣議決定した。この五年間で成人の自殺は減少傾向にあるが、児童生徒の自殺が増加し、その背景にはいじめ問題があるとの認識だ。

大津市のいじめ自殺問題を背景に、東京都品川区ではいじめを繰り返す児童生徒を出席停止にする制度を運用するとの報道があった。

学校教育法の規定によって、いじめの生徒に対する懲罰的な意味ではなく、学校の秩序を維持し他の児童生徒の教育を受ける権利を保障するとの観点での制度だ。

これまでの教育現場の対応を見ると、いじめた子は「ちょっとやんちゃな子」という認識で、いたずらやふざけに過剰に反応していじめられたという子をたくましく育てるという学校側の意図が多分にあると思う。「いじめられても学校に来ているから大丈夫だと思った」とか、或いは「学校に来なくなったからいじめ問題は終わったという認識だ」とか、最近のいじめ問題で教育現場の返答に不信感を持つ人は多いだろう。いじめが悪いことだとは口にしながら、その認識の落差には疑問を感じるし、いじめた生徒に対する処遇が見えないのは、臭いものに蓋をしている感覚なのではないか。いじめる子どもの心の奥底にある、人を蔑視したり憎悪したりする感情を想像してみたい。人に暴力を加える子には、生育環境の中に必ず問題があると言われる。被害にあった子らのケアの為にカウンセリングは必要だが、加害側の児童生徒にも何らかの手立てが必要ではないかと思う。生徒指導の教職員が正論で叱りつけるのではなく、その子のいじめる気持ちの背景を考慮して、子を理解して育てていく気概が教育現場に必要ではないかと思う。

いじめによって児童生徒の人生が自殺によって、終止符を打たれるのは悲惨でならない。相談できる人がいなかったとは何とも悔しい話だ。法務省ではいじめの相談窓口を開設しているが、広報不足で周知されていない。年に一度、「子どもの人権SOS ミニレター」という活動を毎年秋に全国の小中学校に配布して、子どものいじめなどの相談に応じている。だがこのように子らが直接手紙で訴えられる活動は通年で、小中学校に常時配布して、子らの目に留まるところにおき、こっそりと相談できる場にしてはどうだろうか。

いじめが蔓延する社会の中で、大人は良識を持って子らの未来に責任を持つべきだ。

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